【ドイツのコロナ対策班】「日本は勇気があってうまくいった」「日本を絶対に手本にしなければならない」★2
タイトル画像:https://www.ndr.de/nachrichten/info/podcast4684.html【5月30日に加筆修正】追記:ドイツの議論について素晴らしい記事があったので追記し、それをもとに一部加筆修正しています。(5月30日)冒頭と個人の考えの部分は大幅に修正していますが、翻訳部分は変更はほぼありません。ドイツでのクラスター対策の議論について素晴らしいエントリがあったので、そちらをご覧いただけると幸いです。ドイツではここのところ、クラスター対策を評価する論調が出てくるようになりました。きっかけは4月16日にプレプリで公表された日本の研究や、中国等の研究によって、クラスターに対応することが正しいのではないかという確固たるエビデンスが確立してきたからです。ショーンKY氏の記事はこの経緯をわかりやすくまとめてくれています。本当に素晴らしい記事ですのでぜひご一読ください。ドイツでの議論の流れが変わったのは、どうやらScienceに掲載された記事もきっかけとなったようです。メインの追記はここまでです。ドイツではコロナ禍発生以来、ベルリンのChariteという医科大学のウイルスの専門家Christian Drosten教授がポッドキャストでウイルス学の知見から見た最新状況を報告しています。(ポッドキャストはNDRという放送局の科学キャップKorinna Hennig氏が彼にインタビューする形をとっています。)彼はSARSの権威でもあり、今回のCOVID-19に関してもドイツの学術的知見を牽引する立場でコメントしています。彼に対する意見は様々ありますが、ポッドキャストでも非常に丁寧に説明してくれる上に、情報の出典の取り扱いも非常に丁寧で、ほとんどの人は彼を信頼していると言って良いと思います。彼のポッドキャストも44回目になるのですが、ここ数回日本を取り上げることがあり、マスメディアでもDrostenが日本について言及という感じで取り上げることが増えました。そこで、最新の5月28日の第44回で彼が日本について言及した部分について日本語に訳してみたのでご紹介します。この部分は日本も学べることがあると思います。スクリプトはこちらから。()内は私がつけています。Drosten氏(以下D):(今後)スーパースプレディング(Super-Spreading、少数のスーパースプレッダーが多数に感染させること)を防ぐためには、現在の対策をどのように修正していくのかを精査する必要があります。なぜ私がこれを言うかというと、すでに前例(used-case)があるからです。その事例とは日本です。昨日(5月27日、注おそらく5月19日の記事ではないかと思われる)の『サイエンス』に掲載されていた記事ですが、日本は症例統計で観察される全ての数値について、長期に渡りゆっくりと這うような下降曲線を描いています。そして、日本は実はロックダウン対策をとってはいるものの、その中身が他のアジアの多くの国ほど厳しいということはありません。また、スウェーデンなどのように自己責任だけに頼るでもなく、(スウェーデンとも)対策は異なっています。長い間、誰も日本が実際にどう対策しているかを正確には理解していませんでした。日本からの積極的なコミュニケーションはなかったものの、みな驚いていました。日本はドイツよりも少し人口が多く、都市部に人口が集中している国です。そんな日本では他の国では見られないようなことが起きました。(日本では)政治における疫学分野の責任者自身が、SARS1の流行時に最初の試練(火の洗礼、Feuertaufe)を経験しており、その時に原則となる教訓を得ています。その時の感触を力技で(Durchgriffskraft、【6月4日「非常に大きな実行権限」から訳を変更、すいません。】)現在に活かしており、「我々はこうやります」と伝えました。つまり、「我々の対策は、クラスター発見のために絞って検査を行います。クラスターが発見されればそれ以上検査は行わず、クラスターの構成員を感染者と断定し、直ちに隔離します。」これが日本の戦略の核心であり、成功していると見ています。Hennig氏:日本の死者数は非常に少ないですね。D:はい。発生率も、完全にロックダウンした国のような激減ではありませんが、ゆっくりですが確実に下がっている。(他国より)遅いながらも恒常的に少しずつ低下しています。日本がなぜ、どのような対策をとってきたかが明らかになってきました。他方で、他の多くの国では、日本と同じようなことは全く不可能だったのではないかと思います。日本の例では、本当に(冗談ではなく、wirklich)権限が与えられた個人が、データから得られる知見(エビデンス)を持たないまま、正に(単に、einfach)自身の経験と見解(勘)で対策を行ったに違いありません。SARS-1の時のように、です。明らかに個人がそうしたのです。うまくいきましたが、うまくいかなかったかもしれませんでした。(意思決定当時)十分なデータがあったとは言えません。(意思決定した)人は、日本で早い段階から自身で全体像を観察、おそらく早い段階から自分なりに観察しており、それに頼っていたのではないかと思います。大胆であり(勇気があり、mutig)うまくいったように見えます。近い将来のためにも、絶対にこれ(日本の経験から得られた知見)を手本にしなければなりません。何度も何度も繰り返していますが、これから夏に突入していくわけですから(特に手本にする必要があります)。ドイツも対策を修正する時間的余裕があります。学校や幼稚園の再開など、特定の対策を実践し、成果を出せるところがあります。夏休みまでは一ヶ月あまり、夏休みは実質的に強制的な時間的余裕となります。対策を試してみてうまくいかなかったことがあるとすれば、私たちが思うに今本当に試してみるべきは、クラスターの早期発見とクラスター構成員の即座の隔離です。言い換えれば、(学校で)教師が感染すれば、数日逆上ってどのクラスで授業をしたかを確認し、授業を受けた生徒すべてを1-2週間自宅待機とすることです。このウイルスの感染期は当初私たちが考えていたものよりも短いものだったので、私の感触では1週間で良いと思います。学校閉鎖はおそらく必要ないだろうと思います。以上です。第43回では4月16日に公開された日本の研究について、興味深くしっかりした研究(Interessant und Robut)であるとして、屋内感染リスクが屋外よりも19倍高いことに言及しています。個人的に思うことここから先は私個人の意見なので読み飛ばしていただいて大丈夫です。ここからは加筆修正しています。既にお読みになった方申し訳ありません。私のような政策ウォッチャーが言えるのは、ドイツもおそらく他の国も、データが揃っていない、エビデンスが弱い段階で日本がとったようなウイルスの特徴を決め打ちする対策を実施することは失敗した際のリスクが大きすぎるとして日本の事例を取り上げることすら躊躇していたのではないかということです。ただでさえ、マスメディアは短く、センセーショナルに取り上げる可能性がある中で、データがなく、経験と見識(勘)で対策をとった(ように強く見える)日本について言及し、それが大々的に取り上げられることを躊躇していたと思います。今回はうまくいきましたが、次もうまくいくとは限りませんからね。確たるエビデンスもない対策に人命はかけられないということでしょう。ミステリーではないが、ミラクルでもない。こんなことはドイツではできなかったというのが本音でしょう。しかし日本は実行し、なんとうまくいった。逆に個人的に疑問に思うのは、日本の専門家はクラスター対策に絞り込み、検査数を絞ると決めた際に、どの程度エビデンスに従い、どの程度経験則に基づいてのかということです。Drosten氏にとって日本の対策は(ウイルス学者としては推奨できない)危険な賭けだったと映っているようです。だからこそドイツや他の国では全くできない、と言っているわけです。日本の専門家が、そうではなくて確固たるエビデンスに基づいて決定したのだと言うのなら、やはりそれを示してもらえると安心するというのが政策調査を生業とする身として素直な気持ちです。また、日本からの情報発信が弱いことも、日本がよくわからない国だった背景にあるようです(誰も長いことよく理解していなかった。日本からの積極的なコミュニケーションはなかったが、皆が驚いていた、言っていますからね)。さらに検査件数が少ないこともDrosten氏がこれまでエビデンスとなるデータが不足しているとして取り上げなかった背景にあるでしょう。彼は日本の事例を取り上げた後、クラスター発見が重要とした上で、「Test, Test, Test」だと改めて強調しています。そして、これは日本の専門家だけの責任ではないと思いますが、どうして英語論文にするのに時間がかかってしまったのか、ということです。ポッドキャストを聞く限り、Drosten教授はプレプリント段階でも、信頼できる研究成果は積極的に目を通していたようで、それを断った上で取り上げることがありました。また、査読済みとされる論文でも試験方法に不備があれば、「今話題になっているこの研究は試験方法においてウイルス学の観点からは不十分」と言及することもありました。そのような彼が日本の状況について、「今になるまで誰も正確に理解できなかった」と言うのは、ひょっとすると日本の失態であり、世界的危機における国際貢献という観点から言えば大きな損失かもしれません。(もちろん論文にするには時間がかかるというのはあると思いますので断言するわけではなく、知りたいという気持ちです)いずれにしても日本の専門家のアプローチは正しかったことが英語情報として公開され、世界中で追試によって再現性が確認されるようになってきました。とても喜ばしいことです。日本が今この瞬間に学ぶとすれば、ネット対策24億円は論文の英語訳とテストの増加に充てるべきということでしょうか。ただし、ここからはさらに個人の考えですが、日本では政府の自粛要請のみで、他国の強制的ロックダウンなみの成果が出ていたようです。つまり、政策のアウトプット(具体的な中身)は違うが、アウトカム(行動抑制の成果)はほぼ同じと言えます。逆に言うとドイツでは強制的にロックダウンさせないと日本の自粛要請と同じ効果はだせないのではないかということです。ドイツでは日本モデルのエッセンスは学びつつも、日本式対策は取れないのではないかと思います。さらに踏み込んで言うと、自粛要請のみで効果があった背景には日本人のモラルの高さだけでなく、「自粛警察」や大阪のように「自治体が(法的強制力のない)要請に従わない店舗を名指しして攻撃する」、「自主努力なのに従わなかった芸能人に記者会見で謝罪させる」、といった危険な要因もあると思います。日本人のモラルの高さか、それ以外か、どちらが要因としてより効いているかは私にはわかりませんが、やはり「日本モデル」なるものはドイツでは慎重に取り扱ったほうが良いかもしれません。最後に冒頭のショーンKY氏から引用します。このドイツの事例はそのようなしょうもない出羽守とニッポンすごい系のあいの子のような記事とは一線を画し、クラスター対策の理論的背景をなぞり、日本の対策班の収集データの再現性を提供してくれたという意味で重要な知見である。また「世界から学ぶ」ことが求められているだろうという点も同意します。できれば日本モデルの成功体験に酔わずに。ただ、「出羽守」という表現は海外情報を忌避する人に恣意的に使われ、出羽守とさえ言っておけば海外情報は無視しても良いという姿勢につながるので、私は使いたくないです。また、「ドロステン氏の意見には、「いや、データはあったし論文にするだけの人手が足りていないだけなのだ」と反論したいところ」というところも、それは言い訳にはならないし、日本の制度の大きな欠陥ではないかと思うので、ここから日本が英語で情報を速やかに発信できる体制作りの議論につなげてほしいところです。【5月31日追記】るしさんのツイートで、4月16日の論文として参照されていた論文のプレプリントが3月3日にポストされていたことがわかりました。英語での情報発信はあったようです。失礼しました。このプレプリントバージョンが参照されなかったのか否か、参照されていればなぜ取り上げられなかったのか、は私にはわかりません。情報ありがとうございました。とりあえず、賭けに勝った日本。本当に良かったです。また、日本の専門家の優れた能力と丁寧な仕事が実を結んだことを素直に嬉しく思います。このような人たちに感謝ですね。追伸:すでに古い情報ですので注意して読んでほしいのですが、ドイツのコロナにまつわる経済対策について、経済省などのインフォグラフィックを訳した記事のリンクを貼りますので、興味があればお読みください。著者はドイツで10年以上に渡り、エネルギーや環境政策の調査を行い、クライアントに報告書をまとめたり、提案を行ってきました。本ブログは抽象的ながら必要な背景情報を提供しておりますが、具体事例について興味があったり、ビジネスに関心がある方は下記までお気軽にお問い合わせください。nishimura(a)umwerlin.de
さすが先進国では一人勝ちの安倍ちゃん 世界中の指導者から一目も二目も置かれる存在なんだよなあ
これドイツがそっくり真似たら大変なことに成るよ 日本はBCG接種してるから、菌の増殖力が弱く、感染力も弱かったお陰だから。
ケンサーマン行方不明
コロおじケンサーズパヨはそろそろごめんなさいしよ?
尾身先生と押谷先生には足を向けて寝られんな 勲章あげるべきだと思う
今のところぶっこわれモデルが台湾だね 日本は国民ががんばってるモデルにしかすぎない
モーニングショーにつられて検査しろと叫んでいた時期が僕にもありました
結果良ければ全て良し