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【経済】コロナショックで「住宅ローン破綻」大量発生か

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2020/05/13(水) 14:20

PHOTO: iStock.com/taa22
新型コロナウイルスの影響で、日本国内の経済活動や市民生活にはさまざまな影響が出ている。不動産業界も同様だが、競売不動産の分野では各裁判所の入札スケジュールが取り消しになるといった動きがあるようだ。
競売の現場からみた、新型コロナが不動産市況に与える影響とは。そして、コロナショックで「住宅ローン破綻」は増えるのか。競売に詳しい不動産ライター「競売情報探偵」さんに聞いた。
停滞する競売手続き
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界同時株安や通貨安、原油安など全方位的なリスクオフ(リスク回避)が突発的に発生し、いまだ先の見えない波乱の展開が続く。投資分野の中では比較的動きが遅い不動産市況もその例外ではなく、取引事例自体が数を減らしているようだ。
競売の動向に目を向けてみても、各裁判所が入札スケジュールの取り消しを行うなど、競売や執行に関する手続きが停滞を余儀なくされている。競売物件情報サイト「BIT」をみると、例えば東京地裁本庁の競売スケジュールは7月15日開札分までがすでに取り消しになっている。
各裁判所が裁判や執行の延期・期日の取り消しに踏み切った理由。それは、コロナの影響で支払いを滞らせることになってしまった人々が急激に増加する中で、彼らへの「人道的配慮」を考えたという面がある。
相談件数は2カ月で60倍
住宅ローンを扱う住宅金融支援機構によると、住宅ローンの支払いに関する相談件数は2月の約20件から3月は約200件、4月は約1200件と激増している。担当者によると、「直接金融機関に相談している人を含めれば、数はこれより相当多いのではないか」とのことだった。
同機構は解雇や収入減で返済が困難になった人に対し、返済期間を最長15年延長するなどの対応を進めている。4月末時点で、返済期間の延長やボーナス返済の見直しなど返済方法変更の承認件数はおよそ200件に上るといい、担当者は「緊急事態宣言が延長されたことで、今後さらに数が増えていく可能性がある可能性がある」と話していた。
不動産投資家目線でこの現状を語るのであれば、競売市場に築浅で条件の良い物件が出回る可能性もあるにはある。ただ、市場自体が適正価格を見出しにくい状況である上に、集合住宅では債務者が滞らせた管理費・修繕積立金といった滞納金、さらには罰則金利も落札者に引き継がれるものであることを忘れてはならない。
延期や期日の取り消しはあくまでも「先送り」で、滞納に対する金利も罰則金利も止まることなく日々積み重なっているのだ。
なんとか「買える物件」を買わせていた
私はコロナの問題をきっかけに「住宅ローン破綻」が大量発生すれば、不動産市況が長期下降トレンドに入る可能性もあると考えている。
なぜ、住宅ローンの返済に行き詰まってしまう人が多発するのか。原因の1つとして、以前は住宅ローンを組めなかったような低所得層がローンを組んでマイホームを購入するケースが増えていたことが挙げられる。
ご存じの通り、現在の住宅購入者は高い割合で住宅ローンを利用している。国土交通省の「平成30年度住宅市場動向調査」によると、住宅ローンの利用者は新築注文住宅で80%、分譲戸建住宅で73%、分譲マンションで68%、中古戸建住宅で54%、中古マンションで55%に上る。
近年、世帯収入がズルズルと細っていく中でも、デベロッパーは住宅購入者層が「買える物件」をつくる必要があった。「少し背伸びをすればなんとか手が届く物件」を用意すべく、良質な広い土地を細かく切り分け、細長い物件を建て続けた。その結果、低所得世帯でも35年ローンで3000万円台のマイホームを購入するといったケースが多くなっていた。
「買える物件」に合わせて変化してきたのは土地建物だけではなく、住宅ローンの形態も同様だ。マイナス金利下で金融機関側がローンのハードルを下げざるを得なくなった結果、審査基準は細りゆく世帯収入に合わせて緩められてきた。当たり前のように「0円」が選択できるようになった頭金、月々の返済額を安く見せるために無理やり延ばされた返済期間。さらに「親子リレーローン」といった仕組みの利用も増えた。
ギリギリのバランスはコロナで崩壊する
こういった狭小住宅の開発や住宅ローンの形態の多様化が、多くの人に「夢のマイホーム」を実現させたという事実がある一方で、早期の住宅ローン破綻でマイホームが築浅のまま競売にかけられるという悪夢を多発させている。
フラット35は年収400万円未満の場合、返済比率は30%以内という条件があるが、30%ギリギリでローンを組むことは危険だ。仮に体を壊したり、勤務先が倒産したりすれば、あっという間に返済が困難になる可能性もある。本来は20〜25%以内など余裕を持たせるべきだが、近年は不動産会社も金融機関も「ギリギリ買える層」に「ギリギリのライン」で融資を組ませてきた。だから住宅ローン破綻が増えたのだ。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、1カ月の返済額を世帯月収で割った「総返済負担率」は2018年度の平均が21.8%。ただ、25%以上の割合が3割を超え、30%以上の割合も10.1%に上る。
かつて経済成長を続けていた時代は世帯年収も右肩上がりで、収入ベースでみれば無理したマイホーム購入でも「なんとかなる」という状況があった。ボーナス返済をあてにすることもできたが、今はそうではない。競売の現場で目にする住宅ローン破綻者の大半は、ボーナスなど得られていないのだ。
一部の金融機関はすでに、住宅ローンや投資用不動産ローンの新規受付を停止するという動きを見せている。細る所得水準に呼応する形で下へ下へと切り下げられつつも、ギリギリのバランスを保ってきたはずの住宅購入環境。そのバランスがコロナショックで一気に崩れる可能性もあると私は考えている。
手取り半減で「住宅ローンが返せない」
実際に、現場ではコロナショックによる収入減でマイホームを手放さざるを得ないような状況に追い込まれている人もいる。不動産ローンの返済に関する専門相談機関「任意売却119番」の富永順三代表が、ある事例を教えてくれた。
5年前、横浜市で2500万円ほどの中古住宅を35年ローンで購入した30代男性。携帯電話の販売店に勤務しており、残業代を含めて月30万円ほどの手取りがあった。しかし、コロナの影響で店舗の営業時間が短縮され、手取りは15万円に半減。毎月10万円弱のローン返済が立ち行かなくなり、現在は家を手放すことも視野に入れているという。
富永代表は「リーマンショックは景気の悪化に伴って徐々に返済が苦しくなる人が増えたが、コロナの場合はより影響がダイレクトだと感じる。仮に返済期間を延長したとしても根本的な解決にはならず、むしろ総返済額は増えるケースの方が多い。勤務先を失った人などの住宅ローン破綻が続出する可能性は高いと考えている」と話していた。
実際にどれぐらいの数の住宅ローン破綻が想定されるのだろうか。住宅金融支援機構が開示しているリスク管理債権のデータを見ると、全体の融資額23兆4930億円のうち、2018年度時点の「破綻・破綻懸念先債権」は8206億円で割合は3.5%となっている。
富永代表は「リーマンショック後の2009年、2010年はこの数字が8.5%程度まで上昇した」と指摘する。「リーマンショックより影響の大きいコロナショックでは、10%を超える可能性が高いと思っている。つまり、住宅ローン全体の1割ほどで破綻の可能性があるということだ」

この記事へのコメント

銀行打ちこわししようぜ

これで奥様が風俗に流れていくね

4月の失業率集計発表が5月末だから それまで、政府は経済に舵を切りません 対応が遅いから

どんだけ無謀な買い方してんだよ

かといって賃貸の奴だって毎月の支払いあるし、 どっちでも支払いが大変になってるのは同じだろ

2千万円の物件が2百万円で買えるんだよ

賃貸は自由なw

別荘がわりに中古2,3件欲しくなってきた

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